お片付けリバウンドしない「心の整理術」

整理収納アドバイザー/お部屋と心のカウンセラー
中山真由美（なかやままゆみ）

日本テレビの「深イイ話」やNHK「あさイチ」にも出演した、今注目の整理収納アドバイザー。
その他テレビ・雑誌にも多数取り上げられ、収納セミナーの講師やマンションの間取り提案・監修までもを行う収納のプロ。
整理収納のプロ中山真由美の片付け・整理・収納特集

あなたのお部屋はあなた自身の気持ちです

もう10年近くお片付けコンシェルジュとして3,000軒以上お客様のお宅に伺ってわかったことがあります。それは、部屋はその人の気持ちを表している、ということです。
足の踏み場もない部屋に暮らすご夫婦が離婚の危機にあったり、お片付後、もっと整理収納をしたいと再予約をいただいた方の表情がとても明るくなられていたり、ということが本当によくあります。気持ちとお部屋は不思議なほどにリンクしているんです。
きれいに片づけてもリバウンドしてしまうという方もいらっしゃるのですが、そういう時は、たいてい心が弱っているときなのです。自分を大切にできるようになれば、自分のモノを大切にできるようになり、結果お部屋もきれいなままをキープできるようになるのです。インブルームではお客様には自分の持ち物、つまりその物を買ったご自分と向き合っていただくために「心の整理術」と題したセミナーを行っています。今回はその中からエッセンスを取り出してお話してみたいと思います。

「しなくてはならない」「すべきと考えていること」から脱皮する

お片付けができない、と悩んでいる方のほとんどは、気持ちの優しい方がとても多いのです。だからこそ「いつも部屋をきれいにしておかなければならない」「お掃除は毎日すべきだ」と自分を責めてしまっています。やらなければいけないことができないと、それは悩みになってしまいますよね。
でもそれは本当に「すべき」なことなのでしょうか。
試しにいつも「しなくてはならない」「すべき」と思っていることを紙に書いてみましょう。
そしてじっくり考えてみましょう。それは本当に問題になっていることでしょうか？たいていの場合、それは「他人から見てよく見える自分」の姿であり、しなくてはならないことではないんです。そしてそれが自分の良いところにブレーキをかけてしまっていることも多いのです。

頑張ると努力は別のものです

頑張ればできるはず、と自分にはっぱをかけて追い込んでしまう人も多いです。これも自分を追いつめてしまい、心のブレーキになってしまうのです。「頑張る」って一見素敵な言葉ですが、意に反して我慢してやることなので、実は不満がたまってきてしまいます。でも「努力」なら心の負担になりません。自分で決めて自分で力を尽くすことだからです。頑張るから努力する、へ考え方を変えてみましょう。そして今「すべき」「しなければならない」と思っていることも、自分の心に逆らわずにできるよう気持ちを整理してみましょう。

「～があれば～したい」を見つけて実行してみよう

知らず知らずのうちに自分の心にかけていたブレーキを解くためには、考え方を180度変えて何をしたら楽しい気持ちになるのかを考えます。
今までで一番楽しかったことを思い出し、それと同じ気持ちになれるのはどんなことかを考えてみましょう。
ちなみに今までセミナーでお聞きした中で一番多かったのは、「お金があれば旅行がしたい」でした。実はこのお金「があれば」が今自分で自分にかけているブレーキなのです。外すためには、「旅行したい」をまず体験するのです。泊まるのが難しければ日帰りでもOKです。やりたいと思っていることを体験することで、ブレーキが外れ、効果を体で感じることで気持ちが変化していきます。

幸せ思考訓練をしてみよう

「すべきこと」、でなく「したいこと」を大切にできるようになると、自分のこと、自分のモノも大切にできるようになってきます。ネガティブなことをポジティブなことに置き換えることで、変わってくるのは行動だけではありません。自分の気になる性格も前向きな言葉に置きかえてみましょう。名付けて「幸せ訓練法」です。
「内気」なのではなく「慎重」、「優柔不断」のように見えるけれど「フレキシブル」である、「飽きっぽい」のではなく「気持ちの切り替えが早い」のだというように、自分がプラスと感じられるポジティブな表現で考える訓練をするのです。こうすれば自分を変えることなく、短所は長所に変わります。

心が整えば、お片付けリバウンドはしない

心のどこかが満たされなかったり、自分で自分を大切にできない心を持っていると、気持ちがモノとしてお部屋に現れ、その数もどんどん増えてしまいます。
お片付けの基本は、[1]持ち物を整理して　[2]収納し [3]出したらものを収納場所に戻す、の3ステップです。
[1]の整理が不十分だと、収納しても、戻すのが面倒になり、つい床などに置きっぱなしにしてしまうのです。
たとえば小さなクリップひとつでも、何かに使いたいという理由があったから買ったので、そのときの気持ちは自分にしかわかりません。だから他人基準で捨てるのは辛いと感じるのです。
でも自分を大切にできるようになれば、ひとつひとつのモノに向き合うことができるようになり、「今の自分に必要なモノかどうかが見えてくるので、[1]の整理がしっかりでき、収納は簡単になります。
部屋はあなたの気持ちそのもの、とお話しした理由、わかっていただけましたか。お片付けが進まない、というときは「心の整理ができていないのかも？」と考えるきっかけにしていただけたら嬉しいです。前向きな気持ちで、心もお部屋も整理してみましょう。